だいぶ前になってしまったのですが,i-MiEVの暖房がどれくらい電気を食うのかについて調べてみました.
ガソリンで走る自動車の場合,8割とか9割といわれる熱損失を誇るエンジンの有り余る廃熱のごく一部を室内に回してあげれば,冬でも半袖はおろか全裸でも汗が噴き出してくるくらいの強力な暖房を得ることができますが,EV(電気自動車)の場合,モータは廃熱をほとんど出しませんし,それ以外にも暖房になるほどの熱を出す機構がありません.そのため,EVは走行用の電源を使って暖房を動かします.実は電車も同じなのですが,電車は架線から電気を取っているのに対し,EVは容量が有限のバッテリを積んでいますから,結果として1回の充電で走れる距離が短くなってしまいます.しかも,冷房はヒートポンプ方式なのに対し,少なくともi-MiEVは暖房はヒータですから,冷房より暖房のほうが効率が悪い(走れる距離に響く)といわれます.
この点は既に雑誌やブログなどでも取り上げられていると思いますので,特に寒冷地の人を中心に,「冬に走れる距離が縮むのはちょっとねぇ...」という懸念が出てくるのはもっともです.
まあ,もともとの使い道が遠出用ではありませんし,仮に走れる距離が半分になったとしても,カタログ値で160kmが80km,実用値が仮に半分だとしても40kmですから,片道20kmは多分問題ないと思います.通勤や買い物であれば,冬は毎晩充電することになるかもしれませんが,もっぱらセカンドカーとして使う人は「それで十分」と感じる場合も多いでしょう.むしろ,暖まるまでの時間はエンジンが暖まるより早いので(暖房のために最適化されたヒータなんだから,あたりまえです),それこそ車が暖まるまでに目的地に着いてしまうような目的なら,デメリットどころかメリットです.
しかし,i-MiEVが1台だけという人の場合,結局のところどれくらい走れなくなるのかということは,重大な関心事です.
というわけで,東京の気温が10度を下回った10月のある日,実験をしてみました.
実験の条件は次のようなものです.
●車内(熱風が直接当たらないところ)と車外に温度計を置き,温度差がおおむね10℃になるように手動でエアコンをコントロールする.
●駐車場で実験する.(走行しない.)
●駐車場は,夜間・日陰である.
●実験時間は2時間.ドア,窓は開けない.
●前日に満充電にしておき,実験終了後充電し,充電に要した電力量を,東電のメータで読む.
念のため厚着をして実験に取り組みます.
午後10時,実験開始.外気温は10℃,車内も10℃.
暖房のスイッチを入れると,冷房もそうなのですが,走ってもいないのに電流計の針がフイーンと+を指します.
10分以内には,車内は21℃まで上がりました.後は,車内をできるだけ20℃くらいに誘導するのですが....i-MiEVは冷房も暖房もやたら効きがいいらしく,ちょっと気を緩めるとあっという間に25℃とか26℃まで上がってしまいます.結局,20℃だったのは最初の30分くらいで,その後は23℃〜26℃の間でした.上着は脱いでセーターも脱いでワイシャツになっても暑かったです.
ちゃんとした実験であればデータロガーを使ったり,きちんとした間隔でデータを取ってグラフにまとめるのでしょうが,そういうのはどこかの大学の研究室とか,ホリデーオートより数段格の高い自動車雑誌とか,あとは国民生活センターのようなところが興味を持ったときにお願いすることとして,私の日記はただの読み物ということでご容赦ください.
今回の実験の条件をまとめると,
●夜,外気温が10℃のときに停車した車内で,暑くて上着を全部脱ぐくらいの暖房を効かせた実験.
●ただ,温度差でいうと,5℃→18℃〜21℃に相当する条件に近いわけで,東京など暖かいところであれば,厳寒期を想定した結果として妥当ではないか.
●今回の実験では,止まっているため,車外の空気の層の入れ替わりが走るのに比べて遅く,おそらく走れば不利になると思われる.
●一方で,日中に走る場合,日差しで体感温度が上がることもある.
という,よくわからないファクターを差し引きする結果になることを承知の上,結果を各自で考察してみてください.
なお,実際に走るときは,よほど寒いところを走らない限り,暖房も間欠使用でなんとかなる,というのが実感です.通勤電車に乗るときにわざわざコートを脱ぐ人もいないと思いますが,EVに乗るときも外と同じ服装のまま乗ってしまえばいいだけの話です.
結果は,2時間で3.33kWhでした(充電の損失を含めた値).1時間で1.67kWh,充電の損失が2割とすると,ヒータに流していた電力は1.33kWくらいということでしょうか.(より確かな結果を得るには,1.2kWくらいのドライヤーを車内でずっと焚いたら車内がどれくらいの温度になるかという実験をすることでしょうか.実際どれくらいなんだろうか...)
噂レベルですが,i-MiEVのヒータの出力は4kWとか5kWといったところらしいです.電流計の針は間欠的に触れていましたので,温度制御で温度が下がったら電気を流すという制御をして,確かにデューティサイクルが3分の1ってところかなぁ,という気はしました.噂レベルの話に気分レベルの話で申しわけありません.
普通の走行でのi-MiEVの電費が,7km/kWhくらいだと思いますので,暖房がこのくらいの電力を使ったというのが正しければ,ヒータを1時間使うごとに,走れる距離が12kmくらい減ってしまうということです.
冷房で同じような実験をして,同じく温度差は10℃だったはずなのに,日なたで凍えそうになるまでエアコンをつけたときは,「冷房を1時間使うごとに,走れる距離が9kmくらい減ってしまう」という結果でしたので,確かに冷房より暖房の方が影響するようです.
最後に,「ヒータを1時間使うごとに,走れる距離が12kmくらい短くなる」というのがどの程度なのか,例を挙げて説明します.
普段の使い方で120km走れるならば,例えば往復が3時間(平均40km/h)ならば,36kmを引いて84kmくらいに,往復が6時間(平均20km/h)なら,72kmを引いて,48kmくらいしか走れなくなってしまうということでしょう.
だいぶ大ざっぱな計算ですが,今までの車と同じようにエアコンを使うならば,i-MiEVはこのような結果になるということでした.
そして,私が電気を節約するためにどのような手段を普段取っているかは,改めて紹介することにしたいと思います.
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