i-MiEVに限らず電気自動車は,ガソリン車のエンジンの廃熱にあたる熱源がなく,冬の暖房も走行用電源で駆動する必要があります.(詳しくは i-MiEVの暖房はどれくらい電気を食うか)
暖房を使えばその分1回の充電で走れる距離が短くなるのですから,特に,遠くに移動しようとするときは,できるだけ控えめに暖房を使うことが,EVをうまく使うコツになります.(長い距離でないにしても,暖房はお金の面でも環境の面でも追加出費がありますし,電池の充電サイクルも減らせますから,いずれの意味でも,冷暖房はできるだけ節約することが望ましいです.)
既にEVでは「厚着をして乗る」,すなわち,ガソリン車であれば上着を脱いで乗るところ,そのまま乗るという人が多いようです.外を歩いていれば暖房はありませんから,それと同じです.ただ,歩いている人はエネルギを消費するのに対し,自動車はアクセルを踏むだけで走ってくれますから,歩くより寒くなります.
EV時代の暖房手段としてはいろいろ考えたのですが,基本的にはひざ掛けと湯たんぽを用意しておき,湯たんぽのお湯はコンビニで調達するという手段で,よほど寒くない限りは大丈夫です.コンビニの店員さんは親切で,まず嫌な顔はされませんので,何か買ったついでにポットのお湯を分けてもらえば大丈夫でしょう.
もう1つ,知人に教えてもらったのが「ハクキンカイロ」です(これはハクキンカイロ社の商品名で,一般的にはオイル充填式カイロというようです).これは,ベンジンやジッポーのオイルを入れて,それを普通に燃やすのではなく,白金(プラチナ)の触媒に当て,そこで酸化の反応をさせて,反応熱を得るというしくみです.1回の燃料の注入で最大24時間という持続性と,使い捨てカイロを大幅に上回る熱量が特徴です.
厚着をしてオイル式カイロを持っていれば,相当寒くない限りは大丈夫です.
私が買ったのは,Zippoのハンディウォーマという製品で,アマゾンで3000円くらいでした.これは「ハクキンカイロ」のOEMのようです.
これを持って,元日の箱根へ行ってきました.
EVでどこかに行くためには,急速充電器がどこにあるかということが重要で,しかも,年末年始となると休業になる施設があるはずですから,それをよく調べてからにしないと,行った先で電欠ということになりかねません.(しかも,念のため故障時の予備も探しておく必要がありそうです.)
箱根周辺で使える主な充電器は,箱根町役場,レイクアリーナ箱根(箱根町総合体育館),大磯町役場です.このうち,レイクアリーナは年末年始休業とのことで,箱根の山の上での充電は無理なことがわかりました.
大磯は町役場の駐車場に充電器があって,その駐車場は土日に観光客に開放しているのですが,時間(17時まで)に制限があるものの使いやすい立地といえます.ただ,時期は年末年始のため,町の広報を webで見ても,駐車場が年末年始にどうなるかは触れていませんでした.ただ,例規集が検索に引っかかって,駐車場開放要綱みたいな規則で,「土日・祝日・12月29日〜1月3日」に開放する,みたいなことが書いてありましたので,大丈夫だと思って行くことにしました.大磯が使えなくても,箱根までは問題なく行けますので,予備という位置づけです.
そして,大磯では毎年元日に「寒中神輿」なんていう神事があって,神輿をかついで海の中に入っていくそうです.大磯には寄らなくても箱根までは問題なく行けるのですが,今回は主目的を大磯にしてみました.
神輿が海に着いたのは予想外に遅くなり,防波堤でずっと待っていたのですが,オイル式カイロと,町役場で湯たんぽにお湯をもらったのが役に立ちました.
その後,箱根町役場で充電させてもらい,山の上をめざします.
箱根町役場は充電するときに利用簿を書くようになっているのですが,1日の午前5時ころ利用者がいたらしく,おそらく初日の出を見に来た観光客ではないかと思います.それ以外にも最近は利用者が結構多いことがうかがえます(といっても,週に1人とか2人ですが).土曜・休日に観光地の充電器が順番待ちになるのも時間の問題かもしれません.
年末年始はレイクアリーナでの充電ができないため,箱根町役場で念のため充電しておいて,その後はもう一度箱根町役場に戻るか,東名の海老名や,一般道なら藤沢市役所(警備員さんが終日使わせてくれる)まで戻れる経路を考えておく必要があります.
箱根町役場,(箱根新道),(芦ノ湖スカイライン),(箱根スカイライン),長尾峠,(県道),東名御殿場,海老名(ここで充電),東京,という経路であれば,なんとか海老名まで行けそうだと踏んで,無謀にも挑戦してみました.ただ,残り電力が予想以上に少なくなった場合は,箱根町役場まで戻るという,飛行機の「条件付き運航」みたいな感じです.
箱根スカイライン,芦ノ湖スカイラインは低公害車割引があって,なんと半額.i-MiEVやリーフはもちろん,プリウスやハリアーハイブリッドでも半額という太っ腹ぶり.料金所には「申告制・車検証をお見せください」と書いてありますが,車体に思いっきりコンセントの絵が書いてあるデザインで,しかも首都高みたいに周囲がうるさくない料金所に無音で料金所に着いたところ,「あー電気だよね!半額!300円!」という感じで,そして料金所でも後続車が来るまで質問攻めでした.
箱根町役場で80%くらいまで急速充電して,標高1000mくらいのところまで上がったところで,電池は半分でした.20kmも走っていないと思うのですが,上り坂はとにかく電池が早く減ります.普通に電池が半分になってしまうと,走れる距離はあと60kmくらいなのですが,この先は東京までほとんど下り坂.行ける!
暖房を使うと走れる距離が短くなるので,暖房は入れません.ハクキンカイロ(のOEM)が大活躍.コンビニで湯たんぽにもお湯をもらって,日差しもあったので,あまり寒さを感じません.さすがハクキン.
それにしても,EVに乗るために化石燃料を焚くことになるとは,思ってもいませんでした.でも,ガソリン車の燃料に比べて3〜4桁少ないので,許してください.(私はたばこを吸わないので,ジッポーのライタオイルを買ったり,触媒加熱用にライタを持ち歩くことになるのも想定外だったのですが.)
途中,長尾峠から乙女道路に抜けようと思っていたのですが,道を間違って県道のほうに出てしまいました.でも結果的に(技術的にではなく,景観という意味で)正解でした.
昔風に言えば峠茶屋,それを今風にアレンジした店が,箱根の周辺の峠道には何軒かあるらしいのですが,たまたま見つけた1軒から見る景色が,とにかくすばらしかったです.その手前に,「この先30分〜40分喫茶ありません」という看板の喫茶店があったのですが,そこから5分か10分で,この茶屋があります.
店のご主人に,それ電気自動車でしょう?本物は初めて見ました,どれくらい走るんですか?東京から充電しないで来られるの?帰りは大丈夫?とか,いろいろ話をしながら,日没のすばらしい景色を撮っていたので,すっかり暗くなってしまいました.
店の標高は900mくらいで,御殿場インタが400mちょっとと聞いたでしょうか...
店を出たらすっかり冷えていて,それでもハクキンカイロってすげぇなぁ,と思う程度で済んでいたのですが,帰りの東名高速は秦野中井までずっと渋滞.
真っ暗で,吹きさらしの高速は,とにかく寒かったです.
それでも,渋滞で暖房を下手に使ったら電欠するかもしれません.箱根の山の上の充電器が開いていたらこんなことにはならなかったのに...と思ったのですが,それを承知で来たのは私です.
以下,某コミュニティサイトに掲載した日記を転載(のため,常体に変わります).
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いや,ハクキンカイロと湯たんぽを併用してもすごく寒かった.
バイクならともかく,なんで4輪でこんな目に,と思うくらい寒かった.
今度は靴下とかももう少し防寒対策を考えて来よう,と思った.
音楽はこんなときのために用意してあった「世界でいちばん熱い夏」をはじめとする真夏の楽曲集.
途中のPAのコンビニでお湯をリフレッシュしたり,建物の中で暖まったりしながら,ムチャクチャ寒い思いをしながら,なんとか充電器のある海老名にたどり着いた...ときには,電池はまだだいぶ残っていた.暖房を普通に(ただし,ガソリン車よりはかなり控えめで,上着を着たまま乗って,そこまで寒さを感じない程度に)使ってても,多分大丈夫だったくらいには.
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結果としては,週末にこのような乗り方も一応できて,バッテリの減り方にも若干余裕があった,という結果なのですが...運転のしかたやエアコンの使い方などで電欠の恐れは十分ありますので,誰にでもおすすめできるようなことではないです.
とりあえず,EVをガソリン車と完全に同じ使い方で使うことは難しいし,すぐには改善しようがない話もあると思いますが,厚着をして乗るとか,カイロなどの方法を用意するとか,その程度の工夫で大幅にCO2の排出量が少ない車に乗れるのですから,別にガソリン車と完全に同じを求める必要はないでしょう.EVはEVの使い方やおもしろさがあるし,それを楽しむのがいいと思います.
現実的には「電気自動車用石油ファンヒータ」を作ってほしい,という話は,北国を中心にまじめに考えてもいいかもしれません.EVに排気筒を付けるなんて,といわれそうですが,冬しか使わない上,走行用の燃料に比べて1桁は少ないでしょうから,絶対許せないのだ,という話でもないように思います.環境の問題は総量の問題なのですから,EVの普及のネックが1つ減って,全体の環境負荷を減らすことができれば,そのほうがよいはずです.
(追記)
1月1日の箱根周辺に近い御殿場のアメダスによると,日中〜16時までは4〜5℃,17時には一気に冷え込みその後は1〜0℃くらいだったとのこと.標高472mとのことなので(御殿場の市街地?),山の上はもっと寒かったはずです.御殿場〜秦野中井の間はよくわかりませんが,小田原で3℃くらいだったようなので,その中間くらいの温度のところを,暖房も使わずに走ってきたということになります.そりゃ寒いわけだ.
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