i-MiEVのエアコンがどれくらい電気を食うのか実験してみました.
残念ながらもう猛暑は過ぎてしまいましたが,逆に最後のチャンスですので,1つ実験をしてみました.
その日は晴れと曇りの混ざったような天気の日でしたが,外気温は26度くらいです.窓を閉め切ってしまうと,たちまち車内は相当暑くなります.
近くの駐車場で日の当たるところに駐車して,車をまったく動かさず,ちょうど2時間,「外気温-10度」を目標に維持する実験をしました.
走行環境とはだいぶ違う条件で,おそらく止まっているほうが壁や窓を通しての放熱は少ないでしょうから,走行時とは乖離した条件かもしれません.一方,純粋にエアコンの電力消費を抜き出すことはできます.
一番暑くなる14時ころから実験を始め,窓の外と車内(いずれも,できるだけ日陰)に温度計を置き,車外が26~25度,車内が16~15度になるようにエアコンを操作してみました.
テキトーに「外気温-10度だよね,へへへん」と思って始めたのですが,ところが簡単ではありません.
i-MiEVのエアコンはオートではなく,温度設定はありません.こまめに設定をして電気を節約してほしいということだと思います.そのため,温度計を見ながら調整するのですが,10度冷やすというのが案外大変で,冷房~暖房のツマミは常に冷房の最大,風量は常に最大でも,室内温度はそこまで冷えません.そのため,MAXボタンをONにして,やっと室内が16度になる感じです.
エアコンが効いていないというのではなく,むしろi-MiEVのエアコンはすごくよく効くほうで,実際,吹出口の温度は7度.本当に16度か,というくらいの寒さに耐えながら,2時間を過ごしました.
いやー,とにかく寒かったです.念のため上着を持っていって,フードまでかぶって,それでも寒さで眠くなるくらいです.(って,今から考えるとヤバいですね.)外から見たら「何やってるんだ,まさか硫化水素でも発生させてるんじゃないだろうな」って感じだったかもしれません.
外気温が26度だったとはいえ,半分はMAXモード,残りの半分も風量は最大ですので,エアコンの稼動としては相当なものだったと思います.
実際,猛暑の時も何回か乗りましたが,エアコンは間欠使用でもそこまで暑いと感じませんでしたし,使うときも,冷房~暖房のツマミは真ん中から数目盛り冷房に回した程度です.風量も最大にすることはありませんでした.実際の走行でエアコンを使うにしても,今回の実験ほどは絶対使わないだろうと思うのですが...
実験を行った駐車場までの往復は4km,それを含めた電力消費は3.07kWhでした.今回の実験結果を保守的に評価するならば,エアコンの消費量が大きい方,すなわち走行に使ったエネルギが少ないとして評価するのが無難です.そのため,今までの走行のうち,都内での走行で一番よかった数値である,7.2km/kWhを動力で消費したものとして,0.56kWhは動力,2.51kWhは冷房と評価してみます.
そうすると,1時間あたりの電力消費は1.26kWh,すなわち消費電力は1.26kW(-充電時の損失分)ということです.
家庭のエアコンが室温維持の状態でせいぜい300~400Wでしょうから,自動車という環境(断熱性のあまりなく,窓も大きい乗り物で炎天下を走る環境)を考えたら,1.3kWというのも妥当な数値の気がします.(前述しましたが,実際には定常的に1.3kWも流さないだろう,というのが実感です.)
走行のための電力消費はおおむね走行キロで考えればいいですが,エアコンは通常時間で電力を消費します.つまり,渋滞などで走行キロが行かないときほど,「キロ当たりの電費」がエアコンの有無で変わるということです.逆に,時間のわりに距離が行くことが多い郊外での走行などでは,そこまで大きな影響を与えないということになります.細かい点を抜きにすれば,タクシーの「時間距離併用制運賃」みたいなものでしょうか.
では,これを踏まえて,今回の結果をどのように評価するのがよいでしょうか.
エアコンを相当な強さで運転しながら走行した場合,1時間あたり1.3kWhの電力が,走行用の電力に追加して必要となります.エアコンを使わないときの電費が7km/kWhとすると,1.3kWhは概ね9kmに相当します.
走行可能距離(航続距離)で考えるならば,1時間当たり9km程度の距離を引いていったあたりと考えればいいのではないか,ということです.
具体的には,往復で3時間の道のりを走行する場合,普段の使い方で120km走れる条件なのであれば,そのときは27kmを引いて90kmちょっとになる,という考え方です.
逆に電費で考えるならば,エアコンを使わない場合が7km/kWhという条件を想定する場合,停車時を含む平均時速が20km/hであれば,1時間で走行用電力を2.86kWh,エアコンを1.3kWhで,実にエネルギ消費は1.5倍ほどになる結果,電費は4.81km/kWhに落ち込む計算になります.一方,平均時速が40km/hに上がれば,1時間で走行に5.71kWh,冷房に1.3kWh,電費は5.71km/kWhということです.
(注:EVは渋滞でも電費に大きな影響がないとみられます.もちろんないわけではないのですが,まだそれを加味して議論するだけの資料がありません)
もっとも,いずれの記録も,エアコンに常時1.3kW(-充電時の損失)の電力を流した場合の計算です.通常の使い方でこの半分(650W程度)ということであれば,エアコン使用1時間あたりの走行可能距離の減少は4~5kmにとどめられ,電費の落ち込みも,平均速度20km/hで5.70km/kWh,同40km/hで6.29km/kWhと,驚くほど大きな減少にはなりません.
最近では東急東横線に「クールビズトレイン」という列車が走り,日中のエアコンを控えめにするという取り組みが行われていますが,車に乗るときもエアコンを控えめにすることで,電気の節約(=環境負荷の低減)はもちろんですが,現状のEVの技術的制約からは,より重要な「走行可能距離の確保」につながるだろうと思います.
(注)本稿で使用する電力量の値(kWhで表すべき値)は,特にことわりのない限り,充電の損失を含めた値で評価しています.
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