横浜市安全管理局(横浜市の消防は「安全管理局」という局が行っています)の報道発表資料より.
http://www.city.yokohama.jp/me/anzen/koukai/press/07/07kiji/20080108.html
「1月4日に保土ヶ谷区今井町で発生した宿泊施設の火災を受け、類似ホテルに対する市内一斉の立入検査等を行い、施設利用者の安全確保を図ります。」
対象は,「1月4日に焼死者が発生したホテルに類似するホテル等」で,市内96か所を予定しているとのこと.
1月4日の火災とは,第三京浜保土ヶ谷PA付近に目立つ広告が立っている(そして,横浜新道からもよく見えるらしい)「ニュー京浜」の火災ですが,ここは,まあ,その,言わずと知れたラブホテルなわけです.
私は,ニュー京浜およびそれに類似するホテル等の室内で行われる秘め事よりも,むしろ「類似するホテル等」という表現に興奮してしまうのですが,その「類似するホテル等」の範囲はどこまででしょうか.
これはまさに「ラブホテルの定義」,そして,「その基準の法的な根拠」という非常に難しい議論になります.
風俗営業法の「ラブホテル」に該当するとさまざまな規制が及んで面倒なため,それを逃れるような形にしているのが普通です.例えば,回転ベッドなどを置いてしまうと一発でアウトですし,「横臥している人の姿態を映すために設けられた鏡で面積が1平方メートル以上のもの」を天井や寝室の壁につけてもアウトです.(さらに,この鏡を「特定用途鏡」と表現してしまうあたり,映っている人の姿態そっちのけで言葉のほうに興奮がおさまりません.下品ですみません.(まじめに解説すると,法律の条文では法律の適用対象となる範囲を明確にするために,一般用語の前に「特定」をつけて定義することが行われます.例えば「特定電子メール」「特定電気通信役務提供者」など.))
さらに事態を複雑にしているのは,ラブホテルの多くが風俗営業法や旅館業法の規定を考慮して作られていて,役所の検査後に再度工事を行っているということです.したがって,法文上はラブホテルになるはずだが,役所はそれを把握していないという施設も多数あることになります.
利用する立場から見ると,ラブホテルの特徴としては,●常態として異性を同伴して利用する ●予約不要 ●宿泊と休憩の2本立て ●枕もとにコンドーム ●人目につかない出入口 ●ボタン式のフロント などがあげられるのですが,必ずしもこの全てを満たさない施設も存在しますし,そもそもこのような定義は法令で引かれた線引きではなく,仮に線を引いたところで誰もが規制逃れを考えるのが通例です.
本題に戻り,「類似するホテル等」の範囲はどこだろう,という話を続けます.あくまで今回は立入調査の対象を決める程度のもので,規制の対象とするわけではないため,明確な線を引く必要はありません(だから「類似するホテル等」というあいまいな表現).
今日の私の興味は,まさか「鉄筋コンクリート3階建て」というような視点で「類似」を判断するわけがないですから,安全管理局が「あなたのところはラブホテルだよね」と判断する基準,この一点です.仮に施設に「うちはビジネスホテルです」と言い張られても,ある程度の論拠をもとに正当性を主張できるだろう基準とは,どこにあるのでしょうか.
「ダブルルームばかりのホテル」でしょうか?だいぶ近くなってきたように思います.「休憩の料金があること」?シティホテルでもデイユースがあったりしますので,これは必ずしも適切ではありません.
煮え切らない結論で恐縮ですが,結局のところ「施設の状況を総合的に判断し,常態として異性を同伴して利用されるホテル等」という判断基準になるほかないのでしょうか.なお,「ホテル等」の「等」は,旅館や簡易宿泊所等(旅館業法上の区分)を含むという意図のものだと思うのですが,貸別荘その他の施設が想定されているかどうかはわかりません.
コメント