29日は参院選の投票日です.私たち国民の多くが,投票日には自分の意思で主権者としての権利を行使することを期待したいと思います.
情勢が土曜日までの報道と変わらなければ,与党は参議院で過半数を割り込み,衆参で逆転する現象が生じる可能性が高くなっています.このことを与党は「法案がことごとく通らなくなる.政局を混乱させることになる.」と主張し,野党は「無茶な法案は修正させることができる.」と主張しています.
わが国が二院制をとる以上は,衆参で構成が逆転することは「想定内」です.憲法及び法律においてもそのような状況に対応するための規定が整備されていますから,それに従ってきちんとした議論を行っていくだけのことでしょう.
参院で与党が過半数を割れば,今のような強引なやり方では与党の言う通り「法案がことごとく否決される」ことになります.しかし,そもそも議会制民主主義とは多数決で押し切るものではなく,多数者から少数者までさまざまな構成員が国会の場で意見を述べ,問題点を国民の前に開示しながら,必要な点は修正を施し,理想的には全員一致の結論として議案を通すことをめざすべきものです.1人の議員は大勢の支持者を代表するわけですから,少しでも多くの議員が賛成できるように議論を尽くすということは,政策に満足できる国民を増やすことにつながります.
対立する議案では全員一致は現実的ではなく,最後に採決をすることになりますが,それでも国会における少数党の主張に意味がないということは全くなく,「反対討論による問題点の開示」という重要な役割を果たしていることはいうまでもありません.このプロセスこそが民主主義の質を左右するものであって,今のように議論を早々と打ち切って強行採決を行うということは,法的には許容されるとしても民主主義の質が高いとはいえません.
したがって,今回参院で与党が過半数割れに追い込まれれば,もはや強行採決のような形で法案を通すことはできず,与野党の十分な議論のもと,より国民全体の満足度の高い政策を出さなければいけないことになってきます.おそらく民主主義の質は高まるでしょう.一応は衆院で3分の2を集めて再可決という方法が残されていますが,今回与党が苦戦を強いられている理由の1つに強引な議会運営への不信が考えられる以上,もはや不信をさらに募らせるだけです.
未来を決める力は,間違いなく私たち国民の手にあるのだと思います.投票率が非常に高い状態は国民が政治に不満を持っている状態ともいわれますし,投票が義務ではない以上,投票率は「高ければよい」と単純には言い切れません.しかし,国民が政治に不満を持ちながら,冷めた目で見放してしまうことは,好ましいことではありません.少なくとも,「政治を見放すよりは投票に行く」というくらいの社会にはなってほしいと思います.
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