29日行われた参院選で自民党は「歴史的大敗」「惨敗」と評される敗北を喫し,一方で民主党が大きく躍進しました.比例代表での民主優勢に加え,一人区で民意が増幅された結果,議席数にこれだけの差がついたと見ることができます.共産党と社民党は参議院でも進んだ「二大政党化」の波に飲まれ,議席を減らすこととなりました.
民主党は大勝を受け,議長や委員会の委員長ポストを取りに行き,最終的には衆院を解散に追い込むなど,政権奪取に向け攻勢を強める構えです.
しかし,政権を目指す民主党は,3年間は参院での多数が保証されているのですから,一度落ち着いて着実に歩を進め,実力をつけた上で国民の意思として政権交代を図るべきです.
これからは,与党が衆院で可決した法案でも,参院で民主党が成立を阻止できるようになりました.しかし,民主党が対決を前面に押し出した結果否決を繰り返していれば,数の力で強引に強行採決を図った与党と同レベルです.否決を繰り返して衆院を解散に追い込むことで,多くの国民の信頼を得られるはずはありません.今後は民主主義のあるべき姿に立ち返り,与野党の両方が妥協できる点を探ることに,衆参・与野党を超えて全力を尽くさなければなりません.
国民は多数意見として与党に不信任を突きつけた一方で,民主党の政策遂行能力にはいまだ疑いを持っているといえます.「結局のところ自民党しか政権を持てる能力を持っていない.」と考える国民も,きっと多数に上ることでしょう.
今の民主党に,政策遂行能力はおそらくないと思います.これは民主党が悪いわけではなく,法を執行する行政庁が与党の支配であり,官僚が全く野党のほうを向いていない(向く理由もない)わけですから,当然のことなのです.官僚への風当たりが強くなっていますが,専門分野に精通する官僚の力を活用しなければ法律を作ることも実際には難しいということも,厳然たる事実です.
しかし,今回民主党は野党のまま参院で多数を制するという,またとないチャンスを得ることができました.行政を執行する責任は与党にありながら,立法において民主党の同意が不可欠という立場を得たのですから,今後は行政府(官僚)も民主党の存在を無視できず,着実に政権党としての力をつけることができるようになったのです.
民主党が今の段階で政権を奪取しても,政治に混乱を起こし,国民に見放され再起不能になるおそれがあります.政権の選択肢を確立するために,今はこの立場を有効に活用し,政権党としての能力を得ることに全力を尽くすべきです.
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