市町村が合併して,長く続いた町の名前が変わるのは当然のことなのでしょうか.
私はずっと東京ですので,「平成の大合併」については完全に無風ですが,少し前にはあきる野市(秋川市と五日市町),西東京市(田無市と保谷市)の合併がありました.これらの合併では当然のように以前の地名が失われ,「あきる野」や「西東京」という地名が突如として生まれました.
隣の神奈川県では,相模原市に津久井,城山,藤野,相模湖の4町が編入されました.津久井や城山はともかく藤野や相模湖は鉄道も道路も「八王子の先」であり,人の流れは間違いなく八王子を向いています.今でも市内に出るには相当不便で,役所の用事でどうしても行かなければならない場合以外は八王子に出るでしょう.少し前であれば,住民もまさか自分の町が相模原市になるとは思ってもみなかったでしょうし,今でも「相模原」とはおよそ別の町だと思います.
ほぼあらゆる自治体が財政難に悩まされ,人口の少ない自治体がそのままでは立ち行かなくなる時代に,合併による市町村の整理は避けられないところでしょうし,今後も推進していく必要があります.しかし,その過程で「新市名で紛糾」であるとか,「市名が決まらず合併自体が破談」ということは往々にして存在します.これは何よりもったいないし,そのような問題を解決してでも合併は進めるべきです.
もし「合併しても住所が変わらない」という選択肢があれば,実現できた合併も多々あったのではないでしょうか.現在の制度では合併すれば住所も変わり,古くからの市町村の名前が消滅することになりますが,別にそれを当然と思う必要はないと思います.
つまり,A県の「B市」「C市」の2市を合併させるとして,住所はそのままB市・C市で,市役所だけを合併させるのです.今では「○○市の役所は○○市役所」に決まっていますが,「B市・C市の市役所は○○広域市役所(仮称)」という選択を認める,ということです.広域市はあくまで組織の名前で,住所に現れるものではありません.市長や議会の選挙は「広域市長・広域市議会議員選挙」として行います.住民票や戸籍は元の市の住所や本籍が書かれたものを,広域市長の名前で発行します.
メリットとしては,合併しても住所が変わらず,古くからの地名もそのまま残せることがあります.住所が変わらないことは,住民はもちろん民間企業の請求書や顧客台帳などのメンテナンスコストを大きく削減します.
一方,デメリットとしては,市役所の管轄がわかりにくくなるということがあります.しかし,市内の人にとっては市役所の名前が変わることと,選挙が広域市の単位になることだけで,大した問題はありません.少なくとも,住所が変わるほどの面倒はないでしょう.
問題があるとすれば,市外の人が市役所に対して手続をする場合でしょうか.今まではB市への手続はB市役所を探して手続をすればよかったのが,まず管轄を調べる必要が生じます.ただ,いずれにせよ市役所の住所は調べる必要があるのですから,「B市・C市→BC広域市役所」という管轄リストがあれば,問題はありません.そもそも県や国の役所(県税事務所,登記所,裁判所など)に手続をする際は,まず管轄を調べるのが常識になっていますので,それが市役所に広がったと思えばいいことです.(なお,合併で消滅した市の市役所は支所として残るのが通例なので,旧住所・名称で申請書などを郵送しても,支所にそのまま届くことでしょう.)
もちろん,当初から住所が変わることを住民の多数が容認する市も多いと思いますので,現行制度との選択制にすべきことは言うまでもありません.また,市役所が合併してから何十年と経ち,市民の間で「そろそろ住所も統合していいのでは」との声が高まれば,そのときに改めて市の名前を考えて住所を変えるようにすればいいのです.問題の先送りだと言われそうですが,問題を先送りしてでも合併による効率化という実を取ったほうがよいといえないでしょうか.
このような方式は,将来「県の合併」が避けられなくなったときに(道州制の議論はともかく),効果を発揮すると思います.将来人口が少ない山陰地方の某県が合併なんていう話になったときに,県の名前がそのままでよければ,案外スムーズに話が進むかもしれません.(県庁をどちらにするかで揉めに揉めるでしょうが.)
あれれ?流れ流れて地下水脈からこんなとこへ・・・
>住所はそのままB市・C市で,市役所だけを合併
これに近い手法を、山口県岩国市は実施しています。
対等合併した旧玖珂郡地域に対して、"山口県岩国市"の後に旧自治体名を元にした町名称を付け(玖珂郡玖珂町→岩国市玖珂町、玖珂郡本郷村→岩国市本郷町)、以下、大字名から"大字"という文字を取ってそのまま連結。
そのままだと、"岩国市由宇町xx町oo"となってしまう一部地域のみ地名の補正を行なうだけで、明治時代の頃の自治体名の名残である大字地名まで生き残らせ。
もっとも、この手法は、合併に伴う地名変更が大量に出て、地名が記載されている書類も名刺も道路等の地名表示も家屋の住所表示板も、あちこちで一斉お取替えが発生するという、資源とお金の無駄遣いを削る、という目的もあったようで。
「美和町長尾xo」という表記の前には「岩国市」と書かれているものとみなすとすれば、当座の道案内板にはなる・・・お品によっては「岩国市」ってゴム印押しやシ-ル張りでしのげるものもあるだろし。
#来月行なわれる予定の参議院選挙の選挙ポスター掲示板の投票日表示のように。
突如として、「あきよし台市」なんて新市名称が浮上して、まとまりかけた話が一度は瓦解した美祢市地域のようなのは・・・観光振興の広告塔にしたいのはわかるけど、やはり、みっともないですね。
* 天気予報の区分けにまで影響が... // もののけ *
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投稿情報: westwind | 2007/06/30 00:02