国立社会保障・人口問題研究所(http://www.ipss.go.jp/)は,「日本の都道府県別将来推計人口」(平成19年5月推計)を発表しました.このことは今日のニュース等で報じられており,ご存じの方も多いと思います.
あくまでも同研究所の推計であり,前提も同所の研究成果に基づくものですので,その点を考慮のうえ読む必要がありますが(統計や推計はなんでもそうなのですが)・・・
県別の資料を見て,「世田谷区よりも人口の少ない県」を数えてしまうのは,ヘタレ世田谷区民の性というものでしょうか.
私が小学生のころ,世田谷より少ない県は鳥取県だけでした.そのうち島根が加わって2県になり,2005年の国勢調査では福井・徳島・高知が加わり5県になってしまいました.
2035年の人口は1億1000万人.2005年と比べて人口が減っていないのは,47県のうち東京都と沖縄県を除く45県.東京都も2020年までは増加を続けるものの,それ以降は減少に転じ,47の全ての県で「5年前より減っている」という状況になります.
2005年の調査で世田谷区は84万人でしたが,東京都の人口が05年と35年で大きく変わらないことから,35年もおそらく世田谷の人口は大きく変わらないように思います.2035年の推計人口が84万人に満たない県は,鳥取(49万5千人),島根(55万4千人),高知(59万6千人),徳島(62万2千人),福井(67万6千人),佐賀(71万2千人),和歌山(73万8千人),山梨(73万9千人),秋田(78万3千人),香川(80万2千人)と,なんと10県に上ります.
世田谷の84万人という人口は政令指定都市のクラスですので(指定都市のハードルが下がったせいもありますが),一般的な市(東京の23特別区は指定都市の行政区と異なり,概ね市と同じ位置付けです)の中では「特別多い」という部類に属します.それでも,30年後には10県が東京の区より人口が少なくなってしまうというのは,今から何らかの手を打たなければまずい状況でしょう.
東京のように黙っていても税収が入ってくる県もあれば,鳥取や島根のように国による再分配がなければ明らかに成り立たない県もあります.今まではこの再分配のしくみが何とか機能しており,曲がりなりにも「都市が地方を支える」ということが成立していましたが,今のうちから手を打っておかないと,地方を支えるはずの都市も共倒れになる可能性があります.
いくら日本の産業構造が転換しても,機械工業も日本の重要産業の地位を失うわけにはいきませんし,情報を食べて生きることはできませんから農業も最重要の産業といえます.こうした産業は全国に広がるものですから,それを受け入れる基盤としての地方振興は非常に重要です.そのため,大都市の住民が地方の財政を支える再分配の制度自体は重要なものだと思います.しかし助け合いの枠組みは「都市と地方」のほか「現役と高齢者」というものもあり,本当にこのまま過疎化が進んでしまうならば,高齢化とあわせたダブルパンチを受ける局面においては,過疎地を支えることに限度が生じることも事実です.
県である以上,県庁,県議会,県警本部,県税事務所,県立高校,県立病院,県道,県営空港といった施設や組織は県が維持する必要がありますし,県都には裁判所,検察庁,国立大学,法務局,その他もろもろの役所が置かれますので,市とは全く違う負担が必要になってきます.酷なようですが,人口が東京の区よりも少ない状況が続くなら,誰が知事になっても夕張のような状況が避けられないような気がします.県下全域にバラマキのような投資はもうできないと考えるべきで,県内のいくつかの都市に振り向け,地方都市の活力や魅力を高めるべきでしょう.「東京や大阪に出て行くくらいなら,○○市で就職しよう.」という選択肢を現実的なものにしなければなりません.もちろん,人口の少ない市町村が合併で整理されたように,県の整理も避けられないと思われます.(ただし,県の統合と県庁の統合は分けて考えるべきで,県の名前(県民の住所)は従前どおりとしながら,県議会・県庁などの組織を統合するなど,「出身地がなくなる」という県民感情にも配慮する必要があります.)
これからの政治に必要なことは,このような厳しい現実をきちんと見据え,国民に対して何らかの道筋を説得力のある言葉で説明することです.
神奈川県はどうなんだろう?
投稿情報: ああ | 2008/11/22 20:16