吹田市の遊園地でジェットコースタ車両の車軸が破断し,当該車両が脱線,施設に衝突し1名の死者および多数の負傷者を出す事故が発生しました.
現在のところ,原因は車軸の金属疲労による車輪脱落とされています.通常は毎年2月頃実施している分解整備が施設の工事により連休明けに先送りされ,2月の点検は目視点検となっていたようです.確かに分解整備が予定通り実施されていたら今回の事故は起こらなかった可能性がありますが,問題はそう単純なものではなさそうです.
まず,昨年2月の時点で金属疲労の予兆が見受けられなかったとすれば,通常の検査周期をわずか3ヶ月過ぎた程度(4分の5の期間)で重大な事故が生じたことになります.こうなるとまさに確率の問題で,今年2月の前に起こっていたとしても不思議はありません.
また,破断した部品は15年間交換されていなかったとのことで,部品の寿命が適切に管理されていなかったのではないかという指摘もありえます.しかし,自動車や鉄道車両のように経験的に「何キロで交換」という指標が出ているものであればともかく(この指標というものも,過去の破断事故から導かれたものなのでしょうが),特に1台ごとにオーダメイドの設備では,どの程度の運行で寿命になるかを事前に予測するのは予想以上に難しいのではないかと思います.(金属疲労は繰り返しの荷重によって起こるもので,それがどのように起こるかは使われ方によって相当異なるからです.)予防保全も重要ですが,では何年で交換すべきかとなると,それなりに難しいものです.
金属疲労による部品の破断といえば,最近東京のゆりかもめ線でも事故がありました.車輪が脱落したため列車が立ち往生し,緊急点検および復旧作業のため2日間運転を見合わせています.そのときに新交通各社で行われた緊急点検では,いくつかの会社で部品の亀裂が見つかっています.また,車両メーカからは「100万キロで精密検査を要する」との報告が回ってきていたが,当該車両の走行キロは90万キロだったこともわかっています.
金属疲労による破断は,金属部品を使っている限り不可避的に起こるものです.また,設計上は安全と考えられていても,何らかの不具合で不均等に荷重がかかり,その部品が(安全率を見越しても)予想以上に早く破断するということは十分ありえます.探傷検査によって安全を確認するということも重要ですが,超音波探傷を日本中の現場の隅々まで行き渡らせることは現実的ではなく,浸透検査(金属表面から特殊な薬剤を染み込ませて,亀裂を見えやすくする検査方法)に頼ることになりそうです.しかし,浸透検査は手間がかかるうえ経験を要する作業であり,頻度を上げて確実に予兆を見つけるということにも限度がありますし,表面からの浸透ゆえ内部の亀裂を見つけられないのではないかと思います.
結局のところ,金属部品は破断する可能性があるものと考え,仮にいずれかの部品が破断しても重大な事故になる前に運転を止められるような思想で設計するほかないのでしょう.今回の事故であれば,1組の車輪や車軸が脱落しても他の車輪で脱線を避けられるようになっているか,または不測の事態でも軌道からの逸脱を防げるような機構を設けていれば,このような結果は避けられたのではないかと思います.
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