東京・港区の高層住宅のエレベータにおいて,乗降中に突然かごが動き出し,かごと乗場の間に挟まれた高校生が死亡する事故が発生しました.痛ましい事故で,ご家族の悲しみはいかばかりかと思います.
この事故では,次のような問題があったのだと思います.
・そもそも,エレベータの安全性は十分だったのか.
・管理会社に落ち度はあったのか.
どんな機械も多少の整備の不行き届きは想定されるものですから,整備に少々の不備があったとしても重大な事故にならないという設計をすることが重要で,特にエレベータなどではそのような安全設計が求められるところです.(そして,致命的な事故が生じるような問題については,その危険性を整備者にわかりやすく伝えることが必要です.)
今回事故のエレベータは,そのような安全性を備えていたのでしょうか.まず,そこが重要なポイントになりそうです.
次に,管理会社に落ち度はなかったのか,という点について,この事故は若干複雑な状況下で起きていますので,それを整理指摘したいと思います.
エレベータは付けてからの点検整備が重要です.整備はメーカ系の会社に任せる方法と,独立系の会社に任せる方法があり,今回の事故では独立系の会社が整備を請け負っていました.しかし役所の契約は単年度契約が基本で,入札の結果次第では頻繁に整備の会社が交代することがありえます.報道されている「SEC」という会社は,この4月から整備を請け負った会社でした.
引継ぎはあるのでしょうが,受託からわずか2か月の事故でもあり,また,以前にもトラブルが起きていた機械であるだけに,正直なところ整備会社の落ち度ということは考えにくい気がします.やはり,メーカの設計が問題ということになるのでしょうか.
私たちが一番恐れなければいけないのは,「やはりメーカ系に出しておくべきだった」という声があがってしまうことです.しかし,自動車の整備は独立系の整備工場が行っていますし,ディーラーに出せば高くつくというのは常識です(最近はそうでもありませんが).
エレベータの整備は,メーカから保守に必要な情報がきちんと提供され,部品の供給などが行われていれば,技術を持った独立系整備会社に委託しても何ら問題がないものです.仮に独立系の整備に不備があるというのであれば,まずはこの公平性こそが問題にされるべきであって,「独立系はよくない」という議論に持っていくことは,国民全体の利益,ベンチャー企業の創出という観点からも望ましくないものです.
実際問題として,「三菱電機ビルテクノサービス事件」といった,部品供給や情報提供にあたり自社の系列会社と独立系会社を差別したとして,独禁法により公正取引委員会が是正を勧告(命令?)した事件なども枚挙にいとまがないところであり,こうしたメーカ系の会社のやり方には強い嫌悪感を覚えるものです.
また,設計がまずい機械というものは,整備者がどんな努力をしたとしても,安全性さえ保てない場合があります(今回の事故はそのパターンではないかと推測します).独立系の整備会社は,利用者の安全を守る立場に立ち,設計上の欠陥などはメーカに対して堂々と指摘し,設計や機構に関する知識を持たない利用者(建物設置者)を代弁してメーカに欠陥を直させるような関係になっていくことが望まれるものです.
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