読売新聞の記事(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050617it05.htm)によれば,JR東日本の中央線で,閉まりかけたドアをこじ開けて乗った乗客に対し,「駆け込み乗車は大変危険です.大けがをすることになります.大けがをしてもそちらの責任です.」と車内放送をしたところ,別の乗客からJR東日本に苦情があり,会社は車掌を指導したということです.
JR東日本としても「言葉に配慮がなかった」(=言ったことは事実だ)と説明し,紹介した記事でも「乗客も危険性を認識するべきだ」と評するなど,JRが批判されるのは当たらないというのが一般的な考えになるのではないでしょうか.
私は,車掌はごく当然のことを言ったにすぎないと思います.まあなんにでも文句を言う人はいるので,会社としても聞き流しておけばいいというくらいに思います.
知人から,「駆け込み乗車で事故にあった場合,本当に鉄道会社が免責になるの?」と聞かれました.法律の専門家ではありませんからよくわかりませんが,会社に落ち度があればもちろん責任は免れません.ただ,特に鉄道の場合は旅客の自覚が比較的求められる(大量の旅客を少ない人数で輸送するため,安全の確保については旅客も一定の注意義務があるとする)傾向にあると思います.ホームで転倒したとかは鉄道側に責任がないでしょうが,駆け込みのため扉に衣服の一部を挟まれ,引きずられて死傷したといった事故の場合でも,状況によっては旅客側に相当の過失があるとされるのではないでしょうか.
確実なことは,鉄道会社が責任を負わないとかそういう問題よりも,事故で痛い目にあうのは張本人であるということです.いくら高額の賠償金が取れても自分で使えない体になるor遺族のものになるというのではおもしろくありません.
私はあまりJRに乗りませんが,JRに乗るときだけは特に注意するようにしています.メトロや東急などでは,ドアがすべて閉まったことを確認した後,車側を目視・ITV確認をしてから運転士に合図を送り,それにより起動する手順です.それに対してJRでは,ドアが閉まったことを示す知らせ灯が運転台で点灯した時点で発車してもよいことになっていて,ドア閉め後の車側確認は走りながら行われるだけです.それがいかに恐ろしいかは,引きずり事故の多さと発車後の急停車の多さ(ただし私の実感ベース)でわかります.
駆け込みがいかに危険かは,電車の一番後ろに乗って概ね車掌の位置でホームを見通してみるとよくわかります.案外,ホーム全体は見えていないのです.だいいち全長200mの列車を1人で見張るのですから,全部見えているほうがおかしいのです.
定時運行の妨げという点についても,十分認識する必要があります.
例の事故のとき,1分30秒の遅れがなんでそんなに大変なことなのか,という甘い考えを垂れ流すマスコミが多数ありました.確かに,1本の列車が1分30秒遅れること自体に,それほど大きな問題はないかもしれません.(ただし,その1分30秒は最終的に乗務員のトイレの時間から捻出されることに注意が必要です.)
しかし,列車の遅れはそのまま他の列車の遅れの原因になります.
列車というのはたいていどこかで分岐したり折り返したりするもので,完全な立体交差でない限りは反対方向の線路を平面で横断するものです.これをポイントの支障と呼んでいるのですが,一般に分岐や折り返しの列車はポイントを反位側(普段開いている側と反対側)に通過するので,速度制限がかかります.もし25km/hの制限でもかかっていれば,全長200mの列車は通過時間だけで29秒もかかります.反対側の線路をそれだけふさぐということは,本数が多い路線では10秒20秒の遅れが大きな支障につながります.
(開くはずの踏切が開かないとか,そういう問題も起こります.)
特にすごいのが京王線の調布で,ここでは京王線と相模原線が平面交差で分岐します.相模原線の上りは京王線の下り本線を横断してホームに入るので,例えば多摩センタ方面からの列車が到着するときは,八王子方面は発車できないことになります.(その挙句に,駅の両側に踏切があったような気が...)
このような駅で,20分に片側6本の列車が往来するわけですから,わずかの遅れが一気にダイヤの乱れにつながることは容易に推測できることと思います.
(他にも,終点の駅での折り返しのポイント支障などもあります.小田急の新宿とか,東横線の渋谷なども,なかなか大変です.)
このように危険で迷惑な駆け込み乗車ですが,恥ずかしい話私はいつもやってしまいます.(もちろん,ドアが閉まりはじめた列車に駆け込むようなことはしません.)
いつも利用しているのが田園都市線という田舎電車なので,次の電車まで7分も8分も待つことがあります.銀座線のように2分か3分で次が来ればいいのですが,8分も待つと思うとやめられません.コンコースの案内表示機の行間を読んだり,駅の入口の列車風を感じたりして,列車の気配を感じたら急いでホームに降りるという手段を使います.(列車風方式は,かなりの確率でハズレ(到着していたのは反対の列車だった)を引くのですが...)
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