自動車の燃費や電費は,理論上,総重量に密接に関係するはずです.同じ加速を得るためのエネルギは質量に比例しますし,移動する物体が持つ運動エネルギは速度の2乗と重さに比例なのですから,同じ道路を同じようなランカーブ(運転速度のパターン)で走ったとすれば,総重量が増えた分だけエネルギ消費は増えるはずです.
私はいつも1人で乗った結果をリポートしていますが,「箱根もらくらく」(いや,楽じゃないんですが)という今までの結果は,4人で乗ったりすると,必ずしも妥当しないかもしれません.
というわけで,同じコースを総重量を変化させて2回走行し,電費の測定を行ってみました.ただ,先に結果からいうと,適切な結果は得られませんでした.そのため,以下は完全な読み物です.
まず,今まで「電費計算のためのコース」として使っていたのは,世田谷から国道246号を横浜の藤が丘まで往復するという,約34kmのコースでした.しかし,246は大動脈といえるほどの幹線道路で,日常のパターンに近いとはいえません.そのため,世田谷から世田谷通りを川崎市の柿生の先まで行き,そこから青葉台へ抜け,そのまま(横浜の)環状4号で東名横浜町田インタ付近に出て,保土ヶ谷バイパス,(横浜の)環状2号,羽沢,第三京浜という,制限速度が40キロの道路から高速道路まで適度に含む64kmほどのコースを設定し,実験を行いました.
もちろんエアコンは使いません.湯たんぽとオイル式カイロで,およそ2時間の道のりを走ります.
i-MiEVの車両重量は,カタログや車検証によると1100kgです.それに乗員や手荷物の重量が加わりますが,道路運送車両法などの法令によると,乗員(+手荷物)は1人55kgで計算するということになっています.その数値が妥当なのかはともかくとして,法令上はそういうことになっており,車両総重量は1100+55x4=1320kgということになります.
試験のために荷物込みの体重を量ったのですが,車に乗る状態と同様に厚着をして,手荷物を持った状態で,実に59kgもありました.この時点で1人分の重さを超えてしまいましたが,あくまでも読み物なので,誤差の範囲ということにしておきます.
そして,4人乗車を想定した試験では,私でさえ(手荷物を含めたら)超えてしまうような「1人55kg」という数値が妥当なのかはともかくとして,55kg×4=220kgになるよう,約160kgの荷物を積みました.
後ろの座席を倒して,荷物を積みます.これで160kgです.i-MiEVは幅はともかく車内がかなり広いので,相当な荷物を積めることがわかります.
いずれも満充電の状態でスタートして,帰着後普通充電を行い,電力量計で満充電までに要した電力量を測定します.
1回目 64km/9.65kWh=6.63km/kWh(1人乗車)
2回目 64km/8.83kWh=7.25km/kWh(4人を想定し,220kgに調整)
・・・意外な結果でした.理論上,車両総重量が多いほうが多くのエネルギを消費するはずです.今回の実験では,差が出なかったどころか,荷物を積んだ方が電力消費が少ないという結果です.
気温も同じくらい,道路の状況もおおむね同じ状況でしたし,運転速度もできるだけ同じくらいになるように心がけて走っています.(確かに荷物を積んだ方が重い感じがしましたが...)
考えられる原因としては,充電の制御において,充電を止める点は必ずしも本当の満充電ではないという可能性があります.バッテリを安全に余裕を持って使う結果,コンディションに応じて充電量を意図的に制御しているという可能性です.
できるだけ同じような運転速度を心がけたとはいっても,実際には荷物が多いほうが緩加速になり,いわゆるエコランになった可能性や,回生ブレーキの効率がよかったとか(確かに,電流計の振れは加速時だけでなく減速時も大きくなった気がしますが,加速のときも大きなエネルギを使っているはずで...),いくつかの可能性の複合なども含めると,実にいろいろ考えられます.
ただ,重い方が電気を使わずに走れるということは普通は考えにくいため,結局のところ,いろいろな要因により,重さによる電力消費の違いは正確に測定できなかったというのが,今回の結果となるのではないでしょうか.
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